小説公開前夜
書き終えた小説をリリースしようと思ってるんですけど、Kindleにしようかnoteにしようかで迷っています。
普通に考えれば両方でいいんですけど、一応対決なんで、プラットフォームは1つに絞りたいんですよね。その方が分かりやすいんで。
今日までの2回はKindleだったんですよ。でも、Kindleって意外とみんな使ってないんですよね。
特に僕が書くやつは窓拭きがテーマになってるので、ガラス屋(窓拭きのプロ)に買ってもらいたいんですが、ガラス屋こそKindleをやってないっていう現実。
みんなネットに疎すぎて、電子書籍を読まないんですよ。だから今回はnoteで出してみようかなと思っています。
noteは課金も簡単ですしね。Kindleみたいに、端末やアプリがなくても読めるから、こっちの方がハードルが低いと思っています。
今日までnoteに文章載せたことがないんで、一度やってみたいって気持ちもありますし。
対決のルール上、今月の15日(つまり明日)まで公開出来ないことになってるんですが、早く公開したくてウズウズしておりますw
☆☆☆
ザックリなんですが、書いた小説について紹介したいと思います。
これは窓拭き小説で、主人公はフリーランス(個人事業主)の窓拭き野郎なんですよ。
結婚もしてて、毎日めっちゃ仕事を頑張ってます。
(こんな感じの仕事ですね)
ただ、ちょっと努力の方向性を間違えてるんですよね。
そんな彼が、色んなことに気付きながら現状を変えていき、最終的には法人化するってストーリーです。
モデルは実際の知人なんですよ。仲の良い仕事仲間が、まさにこの主人公みたいな感じなので、そんな彼へのメッセージがてら書きました。
物語の中には3つくらい大事なポイントが出てきます。
1. 時間の切り売りをしてる限り単価は上がらない。
2. 倍の時間働いて倍の収入を得るのは無意味。
3. 自分の労働力(技術力)に頼ってるうちは、組織は大きくならない
これどれも実際に自分が思ってることなんですが、それを物語に詰め込みました。
書き上がった小説を、モデルとなった本人に送ってみたんですが、どうやら想いは通じたようですw
別に窓拭きしてる人じゃなくても、共感のポイントあるはずなので、是非買っていただきたいですね。 価格も100円にする予定ですし。
失礼ながら、自分の時間を切り売りするとか、まさにサラリーマンの方のそれですから、少なからず共通点はあると思うんですよ。
えー、では最後に小説の導入部分を紹介して、今日のブログを終わろうと思います。
明日公開ですよ!
多分w
☆☆☆
「ずいぶん売れっ子みたいじゃない」
そう言いながら三上(みかみ)さんが缶コーヒーを渡してくる。
「いやいや、そんなことないっすよ」
俺は少し照れながら、その缶コーヒーを受け取り、ゴロゴロ両手で撫で回す(なでまわす)。
季節は12月。冬の寒さでかじかんだ手に、缶コーヒーの熱が伝わってきた。
「いや、ほんと暖まりますよ。しかし寒いっすね」
「そうだな。ところで年内は何日まで仕事なんだ?」
「今のところ31日までですね」
「はー、やっぱ売れっ子は違うね。大晦日まで仕事かい」
「だから、売れっ子じゃないですって」
俺はそう言いながら缶コーヒーを開け、タバコに火を付ける。
冬の澄んだ空に、赤ラークの煙が広がった。
「ところで三上さんは何日まで仕事なんですか?」
「俺は30日までだよ。本当は31日まであったんだけど、佐々木くんが出てくれることになったからな」
「俺っすか。そうか、俺の31日は三上さんの分だったのか」
「そうそう。本当は嫌だから困ってたんだよ。かみさんが31日くらい休んでほしいってうるさいから代役を探してたんだ。そしたらほら、今をときめく売れっ子さんがいたじゃない?」
「いい加減からかうのはよしてくださいよ」
九段下にある現場の屋上。俺と三上さんは靖国神社を見下ろしながら、他愛もない仕事の話をしていた。
俺はガラス清掃の仕事をしている。ロープやゴンドラに乗ってビルの窓拭きをするあれだ。
たまにテレビでも特集されるせいか、世間の認知度は高い。
地方は知らないけど、俺が住んでる東京では、床清掃の仕事とガラス清掃の仕事は、それぞれ専門の会社が請け負ってるんだ。
特にガラスの仕事は高所作業で危険だからな。それ専門の会社がやるってわけさ。
別にどうでもいい話だが、俺たちはお互いのことを「床屋(ゆかや)さん」「ガラス屋さん」なんて呼び合っている。
世間ではガラス屋に対する危険なイメージがあるけれど、この仕事は本当にヤバイ。なんせ今年は同業者が4人も死んだ。もちろん作業中にだ。
俺はそのヤバイ仕事をして5年になる。
ヤバイくらい危険な仕事だからといって、決してギャラは高額じゃない。バイトの年収は300万円程度。
「そんな安いギャラで、なんで危険な作業をするの?」って不思議に思うだろ?もちろん俺もそう思う。
でもガラス屋は仕事の時間も短いし、人間関係も良好だから、俺は居心地がいいんだ。
たまに朝が早いことはあるけど、基本的には9時〜15時くらいでその日の作業は終わる。
こんな風に屋上で一服するのも、ガラス屋ならではだ。
世間のサラリーマンは肩身の狭い思いをしながら、5分10分一服するのが普通だろうけど、俺たちは30分くらい一服する。
昨日行ったキャバクラの話。今やってるゲームの話。そんな他愛もない話をしながら、毎日の時間が過ぎてゆく。
俺は中卒で学歴もないから、普通にサラリーマンになろうったってなれないんだけどな。まあこんな毎日が嫌いじゃないってわけさ。
「よし、ちゃちゃっとエントランス(玄関)をやっつけて帰るかい」
三上さんはそう言うと、ガラケーをポケットにしまい立ち上がった。
俺もやりかけのツムツム(スマホゲーム)を一旦やめ、自分の仕事道具に手を伸ばす。
エレベーターをタバコの匂いで充満させながら、俺たちはビルの1階へ降り、正面玄関のガラスを手際よく拭き始める。
時刻は14時。今日の現場は楽勝だ。